自由に仕事を選べる時代。
改修工事が主流となる時代。
大きな社会構造の変化が起こっているいま、
大工に求められる職能とは、またその育て方は、
どのようなものになるのでしょうか。
本プロジェクトでは、
これからの家づくりの担い手を
“リノベイティブ大工” と名付け、
その職能と育成のあり方について、
実践を通じて追究します。

リノベイティブ大工という職能
本プロジェクトの追究する“リノベイティブ大工”とは、単にリノベーションをする大工のことではありません。
renovateという語の意味について辞書を調べてみると、
renovate
➀修理する、[古いものを]刷新する
②~を活気づける
と書かれています。この意味が転じて、こと建物については「改修する」という意味合いで用いられることが多いそうです。
一方、似たような言葉にinnovateがありますが、こちらは
innovate
➀革新、刷新
②新機軸
と説明されています。
これらの違いは、語源の意味をもとに比べると、“renew [更新]”と“make new [革新]”、すなわち、新しいものが生まれる以前の文脈があるかないかの違いということになります。
伝統技能には、何百・何千という歴史があります。時代の流れに従って改良が積み重ねられてきた結果として、ある種必然的に存在しているのが、現在の職人の技です。
大きな社会構造の変化が起こっているいま、大工職もまた一つ変化しようとしています。
ただしそのとき、純粋な技術の進歩だけでない、その裏にある文脈や文化を踏まえた、人間の仕事としての [更新] ができないか。
長いながい歴史と文化をたずね、これからの大工に求められる職能を追究する。
これが、リノベイティブ大工育成プロジェクトの大きな目的です。